廊下では出来る限り誰にも見つからないように急いで移動した。




あたしたちの教室がある棟は屋上がなく、中庭を挟んだもう一つの音楽室などがある特別棟に屋上がある。




中庭につくとふと思い出して金髪の彼を探すが、いなかった。
やっぱり教室にいっちゃったのかな。
お礼言いたかったのにな。
残念に思いながら中庭を過ぎて特別棟に入って屋上に行く。




開いてるかなぁ?




あたしは屋上に続く扉の取っ手を持って意味もなく緊張していた。




…よし、開けるぞ!!
意を決して取っ手を回して扉を押し開けた。





「んー!!風が気持ちいい!!」




風に靡く髪をそのままに、伸びをする。




「これは、珍しい来客ですね」

「うにゅっ!?」




いきなり誰かに話し掛けられ、誰もいないと思っていたあたしはビックリしてしまった。
キョロキョロと周りを見渡すと、こっちです、という声のするほうに目を向けた。