薫が言い返すように口を開いたとき、髪を茶色に染めた坊主頭の人が前のドアから顔を覗かせた。




「森川さん、ちょっといいですか」

「あぁ?」




薫は相手を威嚇するような声を出して振り返ると、お前か、と言って立ち上がった。




「わりぃ、ちょっと行ってくるな」

「気にしないで」




薫は本当に申し訳なさそうにもう一度謝ると、茶坊主くんのところへ行った。




教室を見渡せば、カラフル頭な彼らがギャーギャーと騒いで遊んでいる。




なんか皆仲良しでいいなぁ、と思いながら窓の外に目を向ける。





あ、屋上…




風、気持ちよさそう…
行っても、いいかな




ちらりと薫を見ると、深刻そうな顔をして茶坊主くんと話していた。




薫は当分戻ってきそうにないし、屋上行ってみよう!




思い立ったらすぐ行動とばかりにあたしは鞄の中から飴を数個取り出すと、スカートのポケットに入れて教室を出た。