◇◆◇◆◇◆
「…兄さん、パリに行くって本当なの?」
「朔妃…。」
荷造りをしている兄さんの部屋に入ってきたあたしに、兄さんは困ったように笑って頷いた。
「…どれくらい?」
「最低でも1年は向こうだ」
「そっか…」
(一年…。一年も兄さんと離れ離れになるの…?そんなの嫌だよ…)
1年という言葉を聞いて俯いたあたしは、涙を流さないようにするのに必死だった。
寂しくて、独りになる気がして涙が溢れてきた。
涙が零れそうになったとき、ふわりと、兄さんの付けている爽やかな香水の匂いがした。
あたしは兄さんに抱き締められていた。
「ごめんな…。お前を、一人にさせてしまう…」
「…っ、ううん、お仕事ならしょうがないよ…」
あたしより7つ年上の兄さんは、早くも両親の会社の手伝いをしている。
だから、仕事で海外に行くのはしょうがないと思う。
(泣いてても兄さんは居なくなっちゃう…。なら、笑顔で見送ってあげなくちゃね)
「お土産、いっぱい送ってよね」
「あぁ」
「電話もして」
「あぁ」
我が儘を言うあたしの頭を兄さんは撫でる。
あたしはそれが落ち着く。
「…兄さん、パリに行くって本当なの?」
「朔妃…。」
荷造りをしている兄さんの部屋に入ってきたあたしに、兄さんは困ったように笑って頷いた。
「…どれくらい?」
「最低でも1年は向こうだ」
「そっか…」
(一年…。一年も兄さんと離れ離れになるの…?そんなの嫌だよ…)
1年という言葉を聞いて俯いたあたしは、涙を流さないようにするのに必死だった。
寂しくて、独りになる気がして涙が溢れてきた。
涙が零れそうになったとき、ふわりと、兄さんの付けている爽やかな香水の匂いがした。
あたしは兄さんに抱き締められていた。
「ごめんな…。お前を、一人にさせてしまう…」
「…っ、ううん、お仕事ならしょうがないよ…」
あたしより7つ年上の兄さんは、早くも両親の会社の手伝いをしている。
だから、仕事で海外に行くのはしょうがないと思う。
(泣いてても兄さんは居なくなっちゃう…。なら、笑顔で見送ってあげなくちゃね)
「お土産、いっぱい送ってよね」
「あぁ」
「電話もして」
「あぁ」
我が儘を言うあたしの頭を兄さんは撫でる。
あたしはそれが落ち着く。