雷獣は猫がお好きなようです

「…………」




女が何か呟いた。




俺には聞こえなかったが男には聞こえたようで、イライラしているのを隠さず、女を睨みつけた。




(感情丸出ししやがって。
てか、余所見なんてしてんじゃねぇよ。)




「あたしの…、あたしのアイス……。…どうしてくれんのよ!!」




(……は?)




アイス?
この状況でアイスなのか…?




しかもあの女、男を背負い投げしやがった。




…じゃああの震えは恐怖じゃなくて怒りから?




そう考えると口角が上がるのを止められなかった。




ヤバい。この女、面白すぎる。




この女は俺に媚びるような女じゃない気がする。
もしかしたら、この女は俺を、俺達を変えてくれるかもしれない。