舞華が笑っている。

俺も笑えている。


━━何だ、こんな簡単なことだったんだ。


ずっとあの日の言葉を気にしていた。
あの日、舞華が見せた哀しげな表情が忘れられなくて。

あんな顔をさせた自分が、俺はきっと嫌いだった。


でも、舞華は大人だった。

俺とは違って、もうとっくに前を向いていた。