「秀人どこ行ったんやろな」

「さぁ」

昼休み。千尋とパンを片手にかじりながら、秀人の消息について喋っていた。

「秀人のことだからまた誰かの厄介事引き受けてんじゃねぇのー」

「かもねー」

その厄介事が自分のことだとは、この時は知るはずもない。


「てか千尋、何でこっちで食べてんの。女子と食べなくていいのか?」

「女同士ってメンドくさい。恋バナばっかやし。“千尋ちゃんは外村君と寺岡君どっち狙い~?” とかキショイわ」

「ヒデーなぁ……」

眉間にシワを寄せる表情は、本気で煩わしいらしい。

千尋らしいと思いながら苦笑いしていると、

「それに竜君と話したいこともあったしな」

「話したいこと?」