そんなことを話していると、チャイムが鳴り
HRが始まった。


「オウおはようお前ら。今日は蒸し暑いなー」


担任の松井は名簿を見ながら言った。別にそんなに暑くない。


「そんなに暑いか?今日」


前の席の秀人が振り返って小声で言った。


「ヤツは暑いんじゃねぇの。そこそこ筋肉着てるから」

「それはムキムキなのヒョロヒョロなのどっちなの」


いやどうでもいい。


「今日の休みは田中と━━、あ?松島来てねぇな」


松島?

聞き覚えのない名前に俺は首を傾げた。


「せんせー、松島って誰……」


同じように疑問に思ったらしい千尋が、後ろの席からデカイ声で聞き返したが、



ガラッ バァン!



やけに乱暴に開いたドアに掻き消された。
みんなが一斉に教室の後ろを振り向く。


「…………」


そこにいたのは、スゲー無愛想な顔をした、けどスゲー綺麗な顔の女子だった。

スクールバックを肩に掛け、ブレザーのポケットに手を突っ込んでいる彼女は、不躾に見てくる俺らの視線を鋭い目で見返した。


「……オーイ松島ー。遅刻だぞー、8時半までに来いっつっただろー」

「私の家の時計はまだ7時半でした」

「1時間もクルってんじゃねぇか!そんなもん言い訳になんねーぞ!」


無表情のままいけしゃあしゃあと遅刻の原因を時計のせいにする彼女。

どうやらあの子が松島らしい。おそらく件の
“転校生"。