「転校生て……この微妙な時期にか?」


秀人が怪訝な表情で問い返した。
確かに微妙すぎる。今は5月だ。


「この微妙な時期に、よ。
ま、正確には転校じゃなくて入学手続きが遅れただけらしいけどな。家の事情たら何たら」

「へー」

「お前何でそんなに詳しいんだ」

「女子の情報網ナメんなよ。クモの巣やぞ」


全く、女子とは(いや千尋とは)恐ろしい生き物である。


「ほら、あそこにひとつ余分に席あるやろ?あれ」

「明らか最近置かれたみたいだな。後ろにポツンだよ」

「今頃から来て馴染めるのかねー。女子?」

「そこまで知らない」


クモの巣のわりにツメが甘いなオイ。