我が家の家庭事情




「……とまぁ、こんな感じ、みたいな」


無表情で語る俺に、千尋と秀人はゲラゲラ笑い転げている。


失礼な。こちとらコンプレックスをなじられたというのに。

思わずムッとした俺に、


「だって、竜君 本間に怒鳴りかえしたんやろ?」

「あー…うん」

「マジか!スゲー!」


怒鳴りたくもなるだろうが。


「教師に怒鳴り返す生徒とか見たことないし!やっぱ竜君サイコーやわー」


ゲラゲラからケラケラに変わった千尋。馬鹿にしてんだろ。


「マジマジ。竜といると飽きねー。お前さ、普通に見えて実は一番気性荒いよな!」

「あー分かるー。沸点の低い馬みたいな。普段は穏やかなのに暴れだしたら手ぇ付けらんなーい、みたいな?」

「そうそう。暴れ馬!」

「……泣くぞお前ら」


せめて人間にしてくれよ。


「でもさー、竜君、茶髪てそんなに嫌?うちメッチャ羨ましいんやけど」

「お前、茶髪なったことないだろ。ないんだよな?茶髪の苦労を知らないから言えんだよ。中学ん時とかガラ悪い先輩とかに何度も絡まれたんだからな!」

「えー、マジか!」


俺の茶髪経歴に秀人が大袈裟な反応をする。
俺は秀人をひややかな半眼で見下ろす。


「そりゃお前は知らないだろうよ。俺を見捨てて自分一人そそくさと帰ったんだからよ」

「秀人ヘタレー」


千尋かニヤニヤと秀人をからかう。


「う、うるせぇな!怖かったんだよ!」

「いきなり公開チキン発言?それがヘタレ言うんやって」

「じゃオメー、ヤンキーの先輩に絡まれたらどうするよ」

「うち?八つ裂きにしたる」

「お前が一番怖ぇよ」