――キーンコーンカーンコーン……――。
「はぁー、疲れたぁ。
ねね、今日わたしたちカラオケ行くんだけどさ、湊[ミナト]くんもどう?」
「うんうん!湊くん歌上手いし盛り上がりそう♪」
「え~、そんなことないよ」
「とか言って、おまえ前の合コンで女子たちの心かっさらってったくせに。
この色男がっ(笑)」
「いやいや、俺知らねーし」
クラスの中で一番目立つ人物には、常に人が群がるもので。
湊くんと呼ばれている彼、
佐伯湊[サエキ ミナト]はまさしくそんな人物だと私は思う。
かっこよくて爽やかな見た目と、優しくて謙虚な性格。
頭は学年のトップクラスで、サッカー部の次期エースと言われるくらい運動神経だっていい。
本当に、欠点なんて見つからない。
彼は前世でどんな善行をしたんだろうか?
と疑問に思うくらいに彼は完璧で、
私とは対極に位置していた。
そしてそれは、
どこかあの子に似ていた。