「……あんたは一人。
人に頼ろうなんて思っちゃダメ。
人を……
好きになんかなっちゃダメ」
母親に見離されていた私に、
一人だった私に、その人は言った。
“僕は、ずっと味方だからね?”
顔も忘れてしまった。
なのに、そう言ったあなたの声は
まるで悪い魔法にかかったみたいに今でも私を縛ってる。
だから……変に期待してしまうのだ。
私を、一人になったと思ってる私を、
“一人じゃないよ”
と、またいつか抱きしめてくれるんじゃないかって。
そんなふうに
淡い思いを抱いてる自分がいるのだ。
だから私は、毎日自分に言い聞かせている。
これ以上、自分を苦しめるようなことにならないために。
自分が変な期待をしないように。
そのために人を、
愛してしまわないように――。

