私の母親には、 私を虐待する人格 と 私を過剰に愛する人格 があって、 ある一定時間おきに交互に現れるという なんとも珍しい病を患っていた。 だから、 「もう、由奈っ!! いきなりいなくなったらママ心配するじゃないっ。 あなたになんかあったら……うっ」 そう言ってシクシク泣き出す母親を、 幼いながらに悲しませてはダメだと感じていた私には、 どうしても母親を嫌いになることはできなかったのだ。