for U〜名のない歌〜


順番待ちの時間はそこまで長くなかった。

むしろ、早いんじゃないかとさえ思う。

薫にそう告げると、ジェットコースターで、かなり待ったからだと笑われた。

「そっか。」

あたしにはわからない。

なんで、薫が遊園地にあたしだけ誘ったのか。

「なぁ、ルネって、お前の本名?」

「そーだよ。他のみんなには言わないでね?」

「もしかしてさ、Runne・Calmen?フランスで、じゃない、今や世界一とも言えるCalmen社の、社長令嬢?」

隠すことではないけど、日本にはRunneを殺そうとしてるやつが紛れ込んでるとも聞く。

もしかして、だから、こんな孤独なところにしたのかな?

「そうだよ。その、ルネ。でも、なるべくルナって呼んでよね?」

「やっと会えた。」

え、?

やっと…会えた…?


「新垣留美子って名前ではっきりしたよ。6年前、ルナのお袋さんに俺の弟は助けられた。」

薫の弟…

佑月…

じゃぁ、あの時の、あたしの憧れの人は、


薫なんだ。

よく考えて見たら、あの時のお兄さんは薫に似ている。

薫の持ってるがっきとおなじものだったし…

そうなんだ。
薫が、あの時のお兄さんだったんだ…