for U〜名のない歌〜


「結城、さん?結城知佳さん?」

あたしは、そう言っていた。

「もしかして…ルネちゃん?」

やっぱりそうだ。

「新垣、ルナです。新垣留美子の娘です。」

あたしの母の名前、

「大きくなったわね。お父さんはお元気?」

「えぇ、まぁ、」

懐かしい人との再開だった。

「結城さん、ご結婚されてたんですね。」

「えぇ。あの事件の次の年よ。あのあと、あたしは、医者をやめて家を継いだの。そこで結婚して、あのこ、長男。優斗よ。」

今、薫と優斗くんが遊んでいる。あたしたちはベンチに座ってる。

本当は、薫は引き合わせて終わらせたかったんだろうなと思う。

でも、あたしのわがままで、このままでいさせてくれる。

「まさか、こんなところでルネちゃ、ルナちゃんに会うとは思わなかったわ。」

やはり、ルネと、呼ぶ方が慣れてるらしい。

「ルネでいいですよ。ルナはあたしのミドルネームなんですから。」

日本でルネはおかしいからってルナって名乗ってるだけ。

「ルネちゃん、私、来年フランスに行くわ。あなたのお母様に、ご挨拶したいの。」

「え…?」

ママに、挨拶?

「今まで向き合えずに、お花を送るだけだったもの。」

そっか。もう今年はママの命日は過ぎたもんね。

「あなたが帰る時に一緒にいくわ。だから、連絡くれないかしら?」

そう言って携帯番号が書かれた紙をあたしに差し出した。

メールアドレスも、もちろん書いてある。

「はい。メールでいいですか?」

「そちらの方が私がいつメールを返せるかわからないからありがたいわ。」

そう言って、笑うと、結城さんは立ち上がり、優斗くんを呼んだ。

「優くん!お兄ちゃんとお姉ちゃんにありがとうしなさい。」

「ありがとう!」

優斗くんは、満面の笑みであたしたちを見上げていた。

可愛いい。。。

ものすごく可愛い。