そのあとは黙って歩いてた。
それは、あたしだけでなく、一緒にいた男の子も。
「ぁ!ママだぁー!」
メリーゴーランド、という乗り物の付近で、男の子は母親を見つけたようだった。
「あの、ありがとうございます。うちの息子がご迷惑おかけしました…。」
「大丈夫ですよ。良かったな。ママ見つかって。」
「うん!」
薫が対応した。
あたしは、この人の顔を見たことがあると思い、必死に記憶をたどる。
6年前、ママを、助けようと最後まで希望を持ってくれたという医師がいたって聞いたことがある。
その人にあたしとパパはお礼を言いに行った。その人はあたしたちに逆に謝った。助けられなくてごめんなさい、と。
パパは、何も言わなかった。
ただ、お礼を述べてそれから、その医者に、あなただけでした、そう言った。
あたしにはよく意味がわからなかった。
それから、ママの命日にはその人の名で花がよく届いていた。


