for U〜名のない歌〜


「バンドハンターに出て、2週間、対バンは呼ばれたけどワンマンはまだだね。」

そう言って、ルナはかなしそうに笑う。

「そう簡単にはこないだろ。」

出待ちのファンとかは少なくはないから、きっと人気がないわけではない。


「フランスに帰る前にワンマンライブやりたいな。」

あぁ、そうだ。

ルナは一年後には確実にここにいないんだ…


「どうしても行くのか?」

「父が、心配してるから。」

まるで、仕方がないとでもいうように、軽く、そういった。

「…ルナ、必ず、ワンマンやろーな。」

ルナはこくりと頷いた。

「あの、さ。この曲、あたしがいなくなったら、薫が歌ってくれないかな?」

俺に差し出されたものは、楽譜。さっきのとも違う。

「こ、これは、さっき言ってたお兄さんを、想った曲。迷惑かもだけど、歌ってよ…ね?」

「りょーかい。」

俺は、ルナの頭をくちゃくちゃにして、作曲室を出た。