for U〜名のない歌〜


「でも、いつの間にか、ベースが、歌が
ギターが好きになってた。」

「なぁ、」

さっきの話の子供、佑月かもしれねぇ、

と言いかけてやめた。

俺は、その代わりもっとぎゅっと抱きしめた。

「薫、あの時のママが助けた、男の子のお兄ちゃんに似てる。あの時、あたしが10歳だったから…17くらいの人だったな…。」

俺はますます、抱きしめる腕を強くする。

「なんかさ、あのお兄さんに似てるんだよね。あたし、その時、そのお兄さんに泣いてるとこ慰めてもらって好きになって、今も忘れられなくて、さ。バカだよね、あたし。もう会えるわけないのに。」

わかってしまった。

俺が、6年前、抱きしめた相手。

俺が、一生忘れられない、女の子。

弱いのに必死で一人で立ってた女の子。

なんだか、放っておけなかった女の子。

それは、今の俺の好きな人。

はっきりと自分の思うことが言えて、たまに子供らしく、衣装をもってくる。歌を歌えば楽しそうな彼女。

「ルナ、」

俺は君が好きなんだ。