「薫はあたしが言ったことの意味気付いてそうだからいうわ。」
いきなりそう告げた。
「あたし、来年にはフランスに戻るの。ここからが本題なのだけど、あたし、母を殺されたの。無差別殺人事件で、ね。」
俺は驚いた顔をしたと思う。
もしかしたら、その事件は俺の両親が殺された事件と同じかもしれないから。
「それまで父は日本が大好きでね、ずっと日本で暮らしたいって言ってたのよ。仕事があるから少ししか、来れなかったけど。ちょうど父とあたしが、あたしのピアノのコンクールのためにフランスに残っていた時母は、一人で里帰りしていたの。その時よ。母がしんだと伝えられたのは。あたし、父ならね、犯人さがして潰せるって思ってた。」
ルナは一息ついた。
「でも、ムリだったの。父は母を亡くしたショックで寝込んだ。代わりにあたしが仕事の指揮をとって、母の、お葬式に出た。喪主も代わりにして。祖父母を、フランスに呼んで、これからのことも話して。しばらく、あたしは日本で、過ごすって言ったら、祖父母も父も大反対した。」
でも、と、またルナは一息おいた。
「あたし、突き止めたいの。犯人。」
その言葉と同時にルナの目から、一筋の雫が、頬を伝った。
それは、その筋を通って次から次へと流れ出す。


