for U〜名のない歌〜


俺は何も言わずに立ち上がった。

そして、廊下を走り出した。

途中で教授に怒られたけど、事情は桐生に聞いてくれと言い捨てて、走った。

「薫⁉」

「昴……。悪りぃ。今、急いでんだ!」

「俺も薫に用があるんだけど?」

「は?」

昴も、俺に用がある?

まるで俺が昴に用があるみたいじゃないか。

「弟さんの友達がきてるぞ?」

佑月の、友達…?

「か、薫?」

…俺が用があった人物は。

今、俺の目の前に立っている。


「薫、あの、ね?」

懐かしい、幼馴染。

そして、俊の姉で、

俺の、元カノ。