for U〜名のない歌〜



「驚いたな。」

「そうだね。チナツと、ナギサが、vivincrownにそろってるなんて。」

薫の声に、佑月が、相槌を打つ。

「違う。チナツの名前、藤宮千夏だろ?」

それがどうかしたのかとでも言うように、佑月は返事をする。

「藤宮旅館の、一人娘、じゃねーか。」

「⁉」

「藤宮旅館といえば…藤宮グループの、本拠地……。」

そんなお金持ちだったのね…チナツ…

「しかも、藤宮グループといえば、藤本財閥に並ぶ、金持ち…」

だからなんなんだろう…


「あの番組は、藤宮グループの、freekの協賛で、やってるよな?」

ぁ、そう言えば、

前に出演した時、ただのコネなんだからって言われたのを覚えてる。

「藤本財閥は、あの番組には関わってねぇ…」

そ、そうなんだ、と
あたしは頷きながら、テレビを見つめる。

でも、心から笑ってないんじゃないかな…

いくら仲が悪かった時でも、笑う時は笑ってた。

それがない。

なんだか、目は虚ろで。

チナツが、チナツじゃないみたいで。