「毎日弾いてるの?」
「もちろん!朝はキーボードで、夕方はフォークギターと、アコギ。夜はベースと、アプリでドラムよ。」
美由の質問にニコニコしながらルナは答えた。
「美由は夜しか練習してないよな。」
「桐生は朝しか練習してないじゃん!」
美由と桐生の痴話喧嘩に、ルナは軽く笑った。
「毎日練習すれば、たとえ、30分でも、変わるわ。」
「そうなの⁈」
忙しい時でも、最低1時間、それが俺たちのやり方だった。
だから、テスト週間はきつかった。テスト勉強しつつ、一時間。
地獄だった。
でも、その日々から抜け出したくて書いた曲が俺たちの代表曲となった。
それから、どんどん曲も詞もかけるようになった。
「テスト週間とか、30分でも違う?」
「当たり前だよ!テスト週間はあたし、ベースしか、練習してなかったよ?」
新事実発覚。
ルナは、ベースしか練習しないことがある。
「その代わり、朝も夕方も、テスト勉強して、追試にならないようにみんなで頑張ったなぁ…。」
懐かしそうに話す。
実際、懐かしいんだろうけど。
「これからは、俺たちと勉強も頑張ろーよ。」
佑月が、笑いながらルナに言う。
一旦、驚いた顔をして、だけどルナも、微笑んだ。
「うん!」
その笑顔は今までみたなかで一番綺麗な笑みだった。