「か、薫?」
「おぅ。」
なんで俺だけ疑問系なんだ。
それだけは疑問だが、まぁ今は黙っておく。
「呼べるじゃん。」
俊がさりげなくさらっと言う。
ルナは顔を真っ赤にさせ、頷いた。
「な、なんか恥ずかしいな…。」
「すぐなれる。」
俺は、そう言って、スマホに目を落とした。
楽譜を作るのに、ベースとギターはあるが、キーボードは持っていないためである。
ピアノは一応弾けるため、仕方なくアプリで作曲。
「薫、キーボードなら、貸すよ?」
遠慮がちにルナが俺に声をかけた。
「いや、お前が使う時困るだろ?」
「朝に一時間、練習できたら十分だから。昼と夜なら貸すよ?」
朝に一時間…毎日弾いてるのだろうか?
たまに、ランニング中に、ルナの部屋からキーボードが聞こえていたのは知っていたが……。