for U〜名のない歌〜


歌にしても、楽器にしても、完璧すぎる。

「最後は、ギターですね。」

自分のギターを持ち上げ、また、カウントをとった。

「ルナ、いれて正解だね。」

佑月は、俺にボソッと言った。

「あぁ。」

これから、あの馬鹿でかい屋敷の住人になる、俺たちのメンバーの実力…。

それは、想像を絶するものだった。

「でも、これじゃまだまだなんですよ…。」

ルナは悲しそうにそう言った。

「アレンジを加えて欲しいんです。薫さんが弾きやすいように。俊さんが、桐生さんが、美由さんが弾きやすいように。」

俺たちが弾きやすいように…?

「あたしは歌うだけ。だからこそ、みんなの弾きやすいしっかりした音で歌いたいんです。」

「そんなのないよ。僕ら、実力はあるからね。」

ニコッと俊は笑った。

そんな俊に、ルナはニコッと笑い返して、信じられない言葉を言い放った。

「実力?それは、milkyway☆にもなかったものです。それが、最近目立ってきたグループにあるとでもお思いですか?」

俊は一瞬ひるんだ。

「実力、というものは自分で言えるものじゃないんですよ?みなさんは、あたしが実力があるとお思いですか?」

「そりゃ、そうでしょ⁈milkyway☆の一員だったし。」

美由が戦闘不能の俊に変わっていう。

俺も佑月も桐生も頷く。

「実力派は、あの中でナギサだけです。ナギサはキーボードしか弾けません。でも、それだけは本当に上手いんです。チナツは、あのルックスとハデな演技。ヒカリは甘い顔と、ドラムと、歌。あたしは歌うときの演技とベースを使ったパフォーマンス。」

「それもうまく行くから、実力派なんじゃないのか?」
「それなら、バンドはみんな、実力派ですね。」

そうか。

そうなるのか。