「はいはーい、次、私!」
ナギサが、手をあげた。
「My story!」
My story......。
初めて、ヒカリと二人で歌った曲…
「ヒカリ、」
ヒカリは頷いた。
マイクを空中に投げて、キャッチしながら舞台を降りる。
「即席のライブ会場ね。」
そう言ってあたしは、またマイクを上に投げた。
♪茜色の空に染まる
夕暮れのとき
二人の影が東に伸びた
学校の片隅の
桜の木の下で
淡い片思いを経験した
教室の窓のそばに
揺れる大きな桜の影
それはきっと今までを
すべて見てきた証なんだ
桜の花に詰まるあたしの物語
一つ一つ花びらに刻まれてく
一枚の花びらは集めれば
大きな桜になる
あたしの物語は増えて行く♪


