for U〜名のない歌〜



手を引いて、軽く英語で話しながら案内しているふりをして、社長室の中に入る。

そして、思い切り、女を抱きしめた。

「おかえり、ルナ。」

「ただいま。薫。」

思った通りルナだった。

「後ろ姿だけでよくわかったね。ばれないようにサングラスと、帽子かぶってたのに。」

「当たり前だろ!彼女の後ろ姿間違えるかよ。」

俺は、ルナをきつくきつく、抱きしめた。

「1年待たせたんだ。責任とれよ。」

「どうやったら、責任とれる?」

首を傾げて上目遣いで聞いてくるルナに、
耳元で囁いた。