for U〜名のない歌〜



「通せません!」

「Why!?」

会社の前で警備員に止められている、金髪の綺麗な女。

その後ろ姿には見覚えがある。

もしかして…


いやもしかしなくても、

ぜったいそうだ。

「どうしたんだ。」

俺は警備員に声をかける。

「しゃ、社長!こちらの女性が、ここから先へ通ろうとするので、」

「彼女は俺の友人だ。連れて行く。連絡を入れてなくて済まなかった。」

そう言って、俺は、その女の腕を掴んで、
耳元で囁く。

「行くぞ?ーー。」

女は驚いた顔をして、俺を見上げながらも、

「Yes.」
そう、はっきりと言った。