「その調子でルナのこと待ちなよ。すぐに帰ってくるって。ルナなんだから。」
「あぁ。ルナはルナだもんな。」
ルナは帰ってくる。だから待っててくれってファンに言ったのは俺自身じゃないか。
なのに、俺が必ず帰ってくるって信じなくてどうするんだ。
「まぁ、帰ってきたら帰ってきたで二人で思う存分いちゃつくんだろ?周りの目を気にしていちゃついてくれれば文句は言わないから。」
佑月も、桐生も、俊もモテる癖に彼女を作らない。
で、人にはいちゃつくなという。
意味がわからない。
「なら、お前も彼女作ればいいだろ?」
「え、いるけど。」
……はぁ?
「どこの誰だよ!」
「早苗ちゃん。」
早苗といえば俺の元カノじゃねーか…!
弟が元カノと付き合ってるとかシャレになんねーし…。
「早苗ちゃん、さっき俊にものすごくひどいこと言っちゃったって泣いてたんだよ。」
やっぱり、後悔していたか。
「俊も仲直りの仕方を教えてくれって、俺のところに来たぞ。」
「あの姉弟仲良いよね。」
こんな感じの、穏やかな、ある日の午後だった。


