ルナはもう直ぐって言っていたのに、まだこない。
すぐって言って起きながらもどうせ、数ヶ月は待つんだろうなって思ってたけど、
一年は、長い!
大学だってもう卒業してしまったし、佑月だってもう、T大生。
あいつらだって成長して、進級した。
なのにまだ来ない。
もう、桜も散ったし、夏も終わって秋になりかけている。
「薫、」
「どうした?」
「僕、早苗と喧嘩しちゃったんだけど、どうやって仲直りしよう…。」
まだ子供っぽい俊と、美由に囲まれながら、俺は仕事に追われる毎日。
昔は叔父に任せてた仕事を少しずつ、やらなきゃいけなくなって、毎日忙しくて、なかなか歌えない中、ライブをやって、という状況だ。
そんなのお構いなしに、俊や、美由は相談をしてくる。
しかも、俊と美由のため、断れない。
「何やったんだ?」
「早苗のヴァイオリン、落として壊しちゃったんだ、」
「早苗のヴァイオリンを⁈」
あれは結構高かったはずだ。
俺の親と俊の親が一緒に選んだ覚えがある。
「わざとじゃないんだよ…でも、僕、早苗が、『ヴァイオリン落とすなんて信じられない!弁償してよ!』なんて言うから、売り言葉に買い言葉で、そんな古いヴァイオリンなんか、捨てちゃえばいいじゃん。って言っちゃったんだ。」
早苗の言い分もわかるが、俊の気持ちもわかる。
「早苗も今頃後悔してるだろうから、素直に謝ってこい。」
俺はなるべく冷静にそう言った。
その言葉に俊の顔が明るくなって、頷いて部屋から出て行った。