for U〜名のない歌〜


「パパ!」

大きな声で叫ぶ。

「どうした?」

「薫たち帰っちゃったよ。よかったの?」

ミカエルさんに会いたい、

5人はそう言ったのに、パパは寝ていることにして、あわなかったのだ。

「あぁ。きっとあってしまったら、俺まで日本に行きたくなるからな。」

「そっか。」

あたしは、パパの向かい側の椅子に座る。

もうしばらくは日本に行けない。

パパを一人にしちゃう気がするんだ。

「ルネ、日本に行きたかったんじゃないのか?」

「今日本に行ったら、あたしずっと日本に行っちゃうよ。」

帰りたくなくなっちゃうよ…。

「あぁ、帰ってこなくてもいい。」

…!何か読んでる?

「留美子からの手紙だ。あいつは、何があっても、俺と、ルネといた時間が幸せだった、そう言ってるんだ。」

ママが、幸せだった、か。

「今度はお前が幸せになる番だろ?ルネ。」