for U〜名のない歌〜


「ありがとう。俺の方が言いたい言葉だ。君たちのおかげで、ルネは楽しかったと思うから、」

なんだか恥ずかしい。
嬉しいんだけれどやっぱり恥ずかしい。

「それは俺のセリフですよ。」

「一曲、俺からも歌わせてもらえないかな。君たちも知ってる曲だよ。」

そういって、ミカエルさんは立ち上がった。

そして、俺に楽譜を手渡した。

その曲は、


「瞳……⁈」

でも、少し、いやかなり歌詞が違う。

なぜだろう。

「その曲はアレンジってルネは伝えなかったのかい?俺が作った曲だ。」

確かにアレンジしたとは言ってたけど……
まさか、ミカエルさんが作った曲だとは思わなかった。

「子供の頃は天才ミカエルと、神童ミッシェルって、音楽界では呼ばれていたんだ。俺はピアノで弟ミッシェルは、ヴァイオリン。…懐かしい。」

ミカエルさんの目はものすごく優しくなっていた。

「ピアノには自信があるんだ。」

そう言ってミカエルさんはいたずらっぽくウィンクをした。