for U〜名のない歌〜


「私はメジャーデビューしたい。人気が出れば世界に出れる可能性もある。そうすれば、ルナにも届く気がする。」

美由の瞳は輝いた。なんだか、本当につながるような気がする瞳だった。


「僕は、ルナがいなきゃ意味ないと思うな。ルナがいて、美由がいて佑月がいて、桐生がいて、薫がいて、僕がいる。それが、sky flyだと思うんだ。」

俊は、言い切った。

自信があるように見えた。

「俺は、薫が決めた道にする。sky flyのリーダーは薫だろ?」

桐生は、珍しくにっこりと笑った。

「なら、俺はルナがすぐに歌える場所を作りたい。だから、メジャーデビューじゃなくて、ここで、歌える環境を作りたい。」

俺は美由に向き直る。

「ごめんな。美由。」


「本当に、薫はルナが好きすぎるんだから。」

そう言って美由は、にこりと笑った。

「最初からわかってたよ。メジャーデビューのこと、断るだろうなって。」

俺はもう一度美由に謝った。