for U〜名のない歌〜



「ルー様ー♡声きれーい♡」

「チィ様の、ギター素敵いいい♡」

「ナギ様の、ハモり可愛いー♡」

この興奮の中、解散のことを告げたくなかった。

でも、あたしは告げた。

解散を。

残酷に。

「milkyway☆は、解散します。でも、最後まで盛り上がって笑って解散しよ!milkyway☆は、必ずみんなの心の中にいるから!」

そんなの無理だよね。

言ってるあたしが泣きそうなんだもん。

「今日は、リクエスト聞きたいな。ルナ、いいでしょ?」

チナツがあたしの方に手を回して聞く。

あたしは頷きながら微笑んだ。

今までならこんな密着したことない。

でも、ほら、最後だから。今日は。

「じゃぁ、まず、背の高いピンクのワンピースきてる、茶髪の女の子!」


「ぇ、ぁ、そ、空の彼方!」

「リクエストに答えて、空の彼方いっくよー!」

チナツが大声で言って、あたしがマイクを舞台袖に投げる。

「ヒカリ!」



空の彼方はヒカリが歌わなきゃ意味がない。

「一曲だけでいいから歌ってよ!」

「ヒカ様ーっ!」

みんなの大きな声が響く。

光は軽く頷いて、出てきた。

「ありがと、ルナ。」

「ヒカリが、歌わなきゃ、空の彼方は、誰が歌うの?」

「ルナでしょ?w」

なんで、あたしなのよと、軽くどつき、位置につく。

あたしは、空の彼方ではハモりだから、ちょっとはしによる。