「ミカエル兄さん、いるかい?」

「叔父様だわ。」

パパの弟ミッシェル叔父様は、あたしがいるからという理由で日本語を使ってくれることが多い。

「叔父様!」

「おぉ、ルネ大きくなったな。」

「もぅ、あたし、立派なレディよ?」

あたしはそういいながらも叔父様に抱きつく。

「そうだな。それで、ルネ、兄さんはいるかな?」

「いるわ。待ってて、呼んで来る、」

「いや、ルネがここで歌えば急いでおりてくるよ。きっと。」

…!確かに…。

あたしは片目をつむって頷いた。

♪ひらひら舞い落ちる
桜の花びら
ひらひらひらひら
あなたの元へ舞い落ちる

あるはれた春の日のこと
あなたが突然笑い出した
理由なんかわからなくて
あたしはただ、首を傾けた

笑を止めたあなたが
あたしの髪にそっと
手を近づけて

ひらひら舞い散る
桜の花びら
そっとあたしの髪から
その花束を集めたんだ