「また歌っていたのか。」
「唯一の特技だもの。音楽は。」
もともと、音楽家になりたかったしね。
ただ、音楽が好きだった頃は。
最近は、ママを殺した犯人を探すためにママに似たこの容姿でおびき寄せるつもりだったけど。
「頼むから、歌うなら、英語かフランス語にしてくれないか?」
「っていう割には、パパも日本語使うじゃない。」
あたしは言い返す。
「日本語を使えば、お前とつながれるような気がしてな。」
あたしとつながる…?
「確かに、日本は嫌いだ。にくい。でも、お前のことを俺は愛してる。」
そう言ったパパは少し照れているようで、でも、何だか、嬉しくて、
「本当に?」
あたしは、そう聞いた。
「大事な娘を愛さない親がいるわけないだろう?」
それは、初めて、パパとあたしを、父娘と、決定づけた言葉だと思う。


