そう言ったのはチナツだった。
「ずっと言おうと思ってたんだけど、そろそろ若女将修行、はじめろって親がうるさいし、ヒカリがいないなら、意味ないし。」
チナツと、ヒカリは一番仲が良かった。
だから、意味ないし。そう言ったんだと思った。
「ヒカリがいなかったら、ウチらルナの引き立て役になるだけじゃん。」
チナツは、確かにそう言った。
チナツたちが、あたしの引き立て役⁈
そう思った。
「そんなのもうこりごり。ナギサもでしょ?」
「私はそうは思わないけど、ヒカリがいなかったらドラムがいなくなるからキツイよね。ヒカリがいつ回復するかもわからないし。」
そう。
あたしはナギサの言葉が欲しかった。
バンドのことを思った言葉。
「解散告げるのは、ルナね。ボーカリストなんだから。」
出た。ボーカリストなんだから。ボーカルだからなんなのよ。
あたししか歌える人がいないんじゃん。
ナギサとあたししか、作曲だってしないじゃない。
チナツは、楽器を弾くことしかできないんでしょ。
そんなの自業自得でしょ。
「なんで、全部あたしなのよ。」
初めて。
あたしはチナツに、反論した。