空色ホイッスル




「あのね、私……一ノ瀬くんのこと最初謎な人だと思ってたの。



先週、蒼井高校と試合をした時、フォワードの選手が



いつもの3年生じゃなくて、一ノ瀬くんに変わってて



その一ノ瀬くんは去年はディフェンダーでこの一週間隈なくスコアブックを見直しても



得点を1点も決めずに忠実にディフェンダーの相手のゴールを防御するポジションに徹してた。



なのに、この間の試合……



一ノ瀬くんはフォワードのポジションで3点を1人で決めて、ハットトリックまで決めてた。



だから、こんなことできちゃう人が今までなんでディフェンダーやってたのかな?って思ったし



ポジションが変わったのになんであんなに機能したプレーができたのか不思議で不思議でしょうがなかった。



それでね……」



私は何も言わない一ノ瀬くんに、一瞬電話がつながっているか心配になったけど話を続けた。