「なんで……」
はぁはぁと息を切らしながら「……良かった」と言って私の目の前で息を整えている一ノ瀬くん。
「試合終わってからすぐに抜け出してきたのに、帰る人達でいっぱいで、すぐ来れなかったから帰ったかと思った」
ホッとした顔を浮かべる彼に対して……
「…………」
今も私は固まったままで、目の前にさっきまであのピッチでプレーをしていた彼がここにいるとは信じられない状態だ。
「芽衣……」
なんで名前でなんか呼ぶの?
一ノ瀬くんが私の名前を呼ぶたびドキドキが止まらなくて、
そのドキドキはどんどん速くなっていく。
それに、前回は間違いなく吉岡さんって私のこと呼んでたのに!

