後半戦スタートのホイッスルが鳴ってからちょっと時間を置いて再び顔を上げると、一ノ瀬くんはもうこっちを向いていなくて
彼はもう試合に集中しているようでまたピッチの中を走り回っている。
「はぁ……危なかった」
独り言と一緒に安堵の溜息が漏れた。
と言うか、完璧私は意識のしすぎだ。
あんなあからさまな態度を取ってしまったらいくら遠くから見てたって、おかしいことくらい気付かれてしまう。
なんで一人でこんな意識してるんだか。
彼から連絡も来ないって言うのに。
私は、一度自分の両頬を両手で叩いて、またスコアとりに集中するように心がけることにした。

