空色ホイッスル




とは思ったものの、私のいる観客席とピッチの距離はとっても遠い。



私から見ても一ノ瀬くんの表情ははっきりとは見えない。



だけど、当の本人はその場所に立ち止まって動かなくなり、



一瞬ポカンとした顔を浮かべていたが、目を細めて何かを見ている。



自分のこと見てる訳じゃないことくらい100パーセント分かってるけど、



彼に私の存在を気づいて欲しいと思う気持ちと



気付いて欲しくない気持ちがぶつかりあって



最終的に気付いて欲しくない気持ちが勝った私は俯いてノートを見つめていた。