「一ノ瀬、早く行け!」
「はい!」
俺は芽衣に「また後で」と言って、握っていた手を離して
芽衣の頭を撫でるとロッカールームを出た。
ドアを閉める時に「一ノ瀬くん、ありがとう!」と笑顔でそう言ってくれた芽衣を目に焼き付けて。
「やべ!レギュラーから外される!」
せっかく先輩と夏休み中ずっと争って、完全に奪い取ったフォワードのポジションだってのに。
準決勝で渡すなんて絶対無理!
俺はスパイクの袋を握り絞めて、自分の学校のロッカールームに走った。
ドアを開けると、ホッとした表情を浮かべる部員たちと呆れた顔をする間宮先生。
「遅くなってすみませんでした……」
と謝り倒して試合に出させてもらうしかできなかった。

