誰もいないから、人目も気にせずいっぱい泣いた。
「ぐすッ……ふぇ」
この間泣きながら帰ったのに、まだ涙は全然枯れていなかった。
涙が止まると、立ち上がって部室に戻ってドアを開ける。
そこにはやっぱり誰もいなくて、こんな悲惨な顔を見られなくて済んだと少しホッとする。
すると、何かを見計らったかのように私の携帯が鳴った。
バッグから携帯を取り出してみると、着信は一ノ瀬くんで今も鳴ったまま。
「はぁ……」
大きなため息が出た。
私が返事しないから心配になって連絡してくれたのかな?
でも今はいつものように楽しく話せる元気なんてどこにもないから出たくない。

