空色ホイッスル




「はい!」



祐ちゃんの代わりに入ることになった岩槻くんは返事をしてアップを始めた。



私は着ていた上着を受け取って、「頑張ってね!」と言った。



祐ちゃんはピッチでもう倒れてはいないけど座っていて、救護班の人と何かを話している。



何を話しているかは遠すぎて聞こえないけど、でも遠目から見て頷いているのは分かる。



そして相手校の選手が担架で運ばれて行ったと同時に、祐ちゃんはゆっくり立ち上がって……



足首を回し始めた。



そして……。



ベンチの方に向かって両腕を使って丸をつくって「俺は大丈夫です!」と大きな声で叫んだ。



その声を聞いてスタンド席で応援しているみんなは大喜びで



「後少しだから頑張れよ!」「今の競り合いかっこよかったぞ!」などいっぱい声援が祐ちゃんに掛けられていて



いきなりピッチに入るよう指示された岩槻くんもホッとした表情をしていた。