空色ホイッスル




一ノ瀬くんは私と七瀬くんの話を寸断するかのように



「七瀬、俺この後芽衣と行くとこあるから先に戻ってて」



とそれだけ言うと、私の手をグイグイ掴んで先に合宿所へ入って行った。



後ろから「芽衣ちゃん、またね!」と聞こえたので



私は振り返って七瀬くんに何も言わずに手を振った。



何も言わなかったのは、なんとなくグイグイ引っ張る一ノ瀬くんが機嫌が悪くなったように感じたから。



でも私が洗濯物干す時間に余裕がないからかな?なんてちょっと思ったりもした。



ランドリールームに着くと、握っていた手がパッと離された。



「一ノ瀬くん、どうかしたの?」



考えて出てきたのはこの一言。



洗濯機はもうすでに止まっていて、壁時計を見て時間があまりないことに気付いた私はすぐに洗濯物を干し始めた。