するとちょっと不機嫌な声をしながら一ノ瀬くんは
「芽衣じゃなかったら、絶対七瀬を置き去りにして帰ってた」
とボソっとそう言った。
それからすぐに七瀬くんがごめんごめん!と言いながらダッシュで帰ってきて
私たちはグラウンドから合宿所に戻った。
帰る途中もやっぱり真っ暗には変わらないから、隣に一ノ瀬くんがいるけど
もう手は繋いでないし、林から熊が出てきそうで怖くてたまらなくて
気付いたら少しずつ歩幅の大きい2人から離れて行った。
一ノ瀬くん!と本当は呼びたかったけど、七瀬くんもいるからどうしても呼べない。
どうしよ……。どんどん離れていくよ。

