だからいくら一ノ瀬くんがこの間あんなこと言ってくれたって、
あの可愛い沙月ちゃんが本気になればいつだって
普段メールや電話しかできない私なんて忘れて好きになるよね。
所詮、距離に勝てる訳なんてないのだから。
でも、さっき私に向かって口パクで言って笑ってくれた一ノ瀬くんを簡単に忘れることなんてできないよ。
やばい……視界がぼやけてきた。
「芽衣ちゃん?ジャグのフタ締めないの?」
「あ、本当だ!これ、グラウンドまで持っていくの絶対大変だよね」
なんて何もなかったかのように言いながら急いでフタを締めて、腕に力を入れて大きなジャグを持ち上げた。

