「浅葱、お疲れ」


控えていた1人の少年がきちんと正座したまま笑顔で七瀬を迎える
頭の防具を外しながら涼しい顔で頷いた


「また鮮やかに勝ったね」

「……あんなの……お前はいつも大げさだな、夜嗣」


少年、御草夜嗣(ミクサヤツグ)は七瀬のつれない返答に淡く微笑んだ


彼は人付き合いの苦手な七瀬浅葱(ナナセアサギ)少年の唯一と言ってよい友人だ


先ほど七瀬に圧倒的な実力差でくだされた少年は、恨めしげに御草達とは反対側に戻っていく


「あぁ、また恨まれちゃうね」

「ふん」

「もう、そんなだから他の子と仲良くなれないんだよ」

「なりたいと思わない」


圧倒的な剣技
それだけではない、七瀬はスポーツをやらせれば大抵の物は簡単にこなせてしまう
それも信じられないレベルで


その上いつも仏頂面で滅多に笑わず、口数も少ない
けれども、好戦的な性格もあってか多数の集団には馴染むことは難しい


要は、友達は少ないと言うことだが