「ぎぃっ!」

炎に包まれたかのような拳を食らって吹き飛ぶ青年。

『完全魔無効化能力』は、実体の有る無しにかかわらず魔物を否定する。

ヘヴンが姿を持たぬ幽霊さえ討伐できるのはその為だ。

魔を打ち滅ぼすと同時に、魔であるならば無すら摑み取れる。

それがヘヴンの聖痕だった。

「そうやって人間を誑かし、謀り、惑わして魂を食らってきたのだな」

「そうですとも…」

大きな火傷の痕をそこかしこに作りながら、青年はほくそ笑む。

「もう少しで貴方も僕の演じる修道女に骨抜きにされて、至福のうちに魂を啜れたんですけどね」