笑顔なのに不気味に映った。

歪んだ笑みに思えて。

微笑んだその瞳の奥は、真に笑ってはいないような気がして。

逃げる。

後ずさる。

しかし追いかけてくる狂子。

地に届く程の長い黒髪の三つ編みがヒュンと伸び、先端に鋭い針が現れる。

まるで蠍の尾。

逃げる女子生徒の背中に突き立てられようとしたそれは。

「!!」

奇妙な痣を持つ右手が摑む事で、白煙を上げて千切れ落ちた。