「先生。このハンカチ血が付いちゃった。洗って返す」



「いいよ。そんなに気を使わなくても」


気を使っているんじゃなくて、先生のハンカチが欲しいだけなんだけれどもな。

先生は、俺からハンカチをすっと取り上げた。


「血なんかついてないじゃん」

先生は黒い布地に赤の模様が入った自分のハンカチを裏表に何度かひっくり返しながら言う。

それと、この香水はどこの香水か調べたかった。

先生の好きな香水。
先生の好きな服のブランド。
先生の好きなバッグの色。

全部俺は、知りたい。