イナズマ

怜奈は黙っていた。
差し出されたハンカチを俺はどうするべき何だろう?

これを受け取ってしまったら、怜奈の気持ちまで受け取るような気がした。

怜奈は言葉を発しない分、ハンカチに重みがあるような気がする。

怜奈は、俺の机の上にハンカチをポトンと落とした。


きっと、受け取れずに固まっている俺には、手渡しができないと怜奈は気付いたのであろう。
俺は、にっこり笑って、そのハンカチを手に取った。

やはり、ハンカチは受け取れない。



俺はは怜奈の手を握った。

怜奈の表情が固まるのが分かった。


期待してる表情にも見える。

でも、その手に俺に差し出したハンカチを握らせた。


すぐに怜奈は、『どうして?受け取ってくれないの?』という表情で俺を見る。


俺達には、口がないのか?と思うほど、すべて言葉はないやりとりだった。